救命の連鎖を構成する輪
早期アクセス
119[またはあなたの地域の救急医療サービス(emergency medical service, EMS)システム]に通報し,AEDを入手する。
緊急事態を認識する。
まず,あなたか他の目撃者が緊急事態を認識しなければなりません。心臓発作,心停止,脳卒中または窒息の警告症状を認識する必要があります。反応がない人には救急治療を行うべきです。心臓発作,心停止,脳卒中および窒息のいずれかが起こると,傷病者の反応が失われることがあります。反応が失われる原因は心停止だけではありませんが,反応がないどのような傷病者にとっても救命の連鎖を開始することは有益です。
119(またはあなたの地域のEMSシステム)に通報する。
緊急事態を認識したら,すぐに119に通報して下さい。119に電話したら,救急指令者があなたに質問します。救急指令者は通報者とやり取りしながら,得られた情報をコンピュータに入力していきます。通報者からもたらされた情報が応答チームに伝えられることになります。質問で要求された情報だけを短く,具体的に答えて下さい。救急指令者はおそらく次のような質問をするでしょう。
- 「どうしましたか?」あなたは,たとえば,「お客様が突然胸痛に襲われ,倒れました」というように答えます。
- 「今どのような状況ですか?」「私の友人がCPRを実施しています。AEDはあります。」
- 「その患者さんはどこにいますか?」「私たちは北東5番街1234にあるエバーグリーン・カンパニーの裏玄関にいます。」
- 「今かけている電話の番号は何番ですか?」「555-1313です。」
ここで救急指令者はあなたに,「私がいいと言うまで電話を切らずにいて下さい。いまそちらに救助者が向かっています。彼らが到着したら,現場に案内して下さい」という指示を出すことがあります。
ただし覚えておいて下さい。もしあなたが一人のときは,救命の連鎖の第2の輪であるCPRをあなたがただちに開始しなければなりません。
迅速なCPR
「心臓マッサージと人工呼吸」
心肺蘇生(CPR)法を開始する。
CPRは第1の輪(119番通報)から第3の輪(AEDの使用)までの時間を稼ぐ最も重要な輪です。心停止や呼吸停止を起こした人にCPRを早く開始するほど,救命できる可能性が高まります。除細動や他の二次救命処置によって心臓が正常な活動を取り戻すまで,CPRで酸素を含んだ血液を脳と心臓に送り続けます。
救急指令者の支援を受けてのCPRと除細動およびEnhanced 119システム(緊急通報位置通知システム*)
米国国内の多くの地域の救急指令者が,通報者による救急治療をどのように支援するかについての指導を受けています。そうした救急指令者の支援があれば,通報者によるCPRの実施(およびAEDの使用)も可能です。救急指令者からの指示は基本的で簡単なものですが,EMS要員が到着するまでのあいだ,傷病者の助けとなるでしょう。忘れてならないのは,ただちにCPRを開始する必要があるということです。
救急指令者はあらかじめ用意されている指示項目リストを使い,あなたにCPRの基本手順を最初から最後まで指導することができます。職場ならば,多くの場合助けが得られるでしょう。
次のように対応して下さい。
- 救急指令者からの指示を大声で復唱して自分以外の救助者に伝え,彼らがその手順に従っていることを確認します。
- 患者に嘔吐やその他の問題が生じたときは,救急指令者にそれを伝えます。そうした危機的状況で完璧に対応しようと思わないことです。
- たとえ少し余分に時間がかかっても,救助者は一つ一つの指示に必ず従って下さい。
- 常に救助者の安全を確保します。
- EMS要員が傷病者のところに到着したところで,救急指令者はあなたに電話を切ってよいと言うでしょう。
- そうしたら電話を切って下さい。
ただし覚えておいて下さい。もしあなたが一人のときは,救命の連鎖の第2の輪であるCPRをあなたがただちに開始しなければなりません。
あなたの地域にEnhanced 119システム(緊急通報位置通知システム*)が導入されているか確認しておく。
Enhanced 119システムとは,コンピュータが通報者の位置を自動的に確認するシステムです(*日本では「携帯電話・IP電話等からの119番緊急通報に係る位置情報通知システム」として、2007年4月より運用開始。導入状況は自治体により異なります)。EMS要員到着前に救助者に指示を出す訓練が救急指令者に対して行われているかも問い合わせておいて下さい。そうした訓練を受けた救急指令者は,緊急事態の臨床基準に基づいた救急治療の指示を出すことができます。訓練が行われていない場合には,あなたの地域にそれらのサービスを導入するよう声をあげて下さい。Enhanced 119システムは分秒レベルの貴重な時間を節約し,人の命を救うことができます。
迅速な除細動
AEDを使う。
自動体外式除細動器(AED)を使って心室細動を治療する。
突然の心停止に見舞われた人々の多くは,心室細動(VF)の状態にあります。VFとは秩序を失った異常な心リズムで,VFを起こした心臓は血液を送り出すことができません。
傷病者のVFを止め,正常な心リズムを回復させるため,ただちに除細動を行わなければなりません。AEDによる除細動を早く実施するほど,傷病者を救命できる可能性が高まります。突然の心停止から生還できるかどうかは除細動施行までの時間とその場に居合わせた人(バイスタンダー)によるCPRにかかっていることがいくつもの研究によって証明されています。VFによる突然の心停止が目撃され,バイスタンダーによるCPRが行われないと,除細動を行っても生存率が1分間に7~10%低下します。バイスタンダーによるCPRが行われると,生存率の低下はもっとゆるやかで,除細動まで1分あたり平均3~4%の低下になります。目撃された突然の心停止における生存率は,CPRを行うことによって除細動までの時間の長短にほぼ関係なく2~3倍に高まります。
地域の市民救助者によるAEDプログラム
AHAは地域の市民救助者によるAEDプログラムを推進しており,(1) あらかじめ決められ,練習を積んだ対応,(2) CPRの実施とAED使用が予想される救助者への訓練,(3) 地域EMSシステムとの連携,(4) 質向上プロセスの継続,の4つの要素が鍵になると考えています。
地域の市民救助者によるAEDプログラムおよびAEDメーカーは,地域のEMSシステムと協力すべきです。プログラム当局またはメーカーは,AEDが備えられている家庭,職場または他の公共の場所をEMSの責任者に知らせるべきです。
AHAは,地域の市民救助者によるAEDプログラムについてステートメントを発表しています。そのステートメントについてはこちら(AHA公式サイトへ)。
ハートセイバーAED
AHAは,地域の市民救助者によるAEDプログラムにおけるCPRおよびAEDの訓練をサポートするためにハートセイバーAEDコースを開発しています。ハートセイバーAEDについて詳しく知りたい場合は,こちら。
早期のACLS
ACLSチームに引き継ぐ。
救命の連鎖における第4の輪はACLSチームです。ここでは,救急救命士と呼ばれる高度に訓練されたEMS要員が担当します。救急救命士は一次救命処置および除細動に加え,心臓の除細動への反応および除細動成功後の正常な心リズム維持を助けるさらに進んだ処置を行います。
